
9月になるとフィリピンのモールでは
クリスマスソングが流れ始め
世界一長い、クリスマスシーズンが始まる。
仕事に対する準備は言ってもやらないが、
クリスマスの準備は早い、無駄がない、忘れものもない。
仕事はと比較にならない完璧の準備、それがフィリピンのクリスマス。
しかし、去年に続き今年も寂しいクリスマスになるだろう。
12月になると行政機関は長期休暇が始まり機能しなくなり始め、
中ごろになれば一般の会社でも動きが止まり始める。
宗教の関係で最大、最重要な儀式で家族は集まる必要がある。
反面、日本と違い正月はクリスマスの延長で、休暇だが
まあ、新年ですねと言う感じで、基本はクリスマスが総て。
クリスマス、正月ともに、それほど特殊な食べ物を用意する国ではないが
ハム、パスタ、パスタソース、チーズとデザートに使うフルーツの
缶詰等が、一般的な会社から従業員へのプレゼントの内容になる。
クリスマスの予算として、給与の1か月分を12月の中旬までに
支払うのがフィリピンの決まり、13か月という名前の賞与が出る。
これは法定の賞与で支払いの義務がある。
日本だと正月の食材と言うと高価な食材が多く、正月だけしか
食べる事のない食材も多い、数の子や子持ちわかめ
栗の甘露煮に黒豆、田作りなどを普段から食べる人は少ない。
さて、今日のお題は子持ち昆布、フィリピンでよく食べる海藻は海ブドウ、
一キロで100円程度で魚屋さんで買える。
細かく切ったトマトと玉葱と酢、塩でサラダと呼ぶが、ドレッシングのように
油を加える事は少ない。
魚卵は食べる習慣はないので、好きな人は身と一緒に調理して食べるが
捨ててしまう人の方が多い、その魚卵を生で食べるのは
フィリピンの人に取って異次元の食べ物。
フィリピン人にとって子持ち昆布は、味、食感に衝撃を受けるだけでなく、
価格にも唖然とする。去年の伝票の価格が5キロで3万ペソだつた
海ブドウの友達のような食い物がキロ6000ペソ、海ブドウの100倍!
理解できないのは当然のことで、理解してもらう必要もない。
子持ちにしんは、産卵しそうなニシンを網で囲い込み、海上のいけすに
大量のニシンを集めたところに昆布をおろすと、そこにニシンが産卵するという。
そのような製造方法で生産される子持ち昆布が多く、天然の子持ち昆布は
ほとんど流通していません、などとスタッフに説明しても
価格で盛り上がってしまい、話など聞いていない。
この海藻と俺のオートバイは同じ価値か!私の給料の2倍だと!
バカ話で盛り上がり、説明どころではない状況。
そこまでの高価な食材がローカルの市場に存在しない、
チャイナタウンのオンピン市場で買うアワビの乾物などを除けば
日本の食材はずば抜けて高い。
フィリピン人が行く市場で高い食材は海老か蟹でせいぜいキロ1500ペソが
上限で、子持ち昆布の上を行く、和牛とクロマグロの大トロだと
一度の仕入れでスタッフ一人の年収を超える。
食い物で、そこまでの価格差があるから、すごいと感じるわけでもなく、
食べてみたいとも思わないところに、フィリピンの人の面白さがある。
これが、フィリピン進出の飲食業で、的を外す大きな原因。
巻きずしがが流行っているから、回転ずしもいけるか?
たこ焼きが流行るから、お好み焼きがいけるか?
大手でも簡単に的を外してしまう。
商売であるからリスクを取って先行者利益を取るとなるが
フィリピン人は保守的なのか?新しいもの好きなのか?
がわかりにくいので、特に食べ物は難しい。
今日のお題の子持ち昆布や、おせち料理は先進国でも受け入れられる国は
少ないだろうし、和食のワインとの相性の悪さが際立ち、価格を見れば、
日本はなんという価値観の国なんだろうと思う。
日本料理は本物であればあるほど売りにくい商品だと
海外で暮らすと思い知らされる。
今日の子持ち昆布、数の子同様に塩を抜く際に抜きすぎると渋く感じて
抜かないと辛い、前回のクラゲの項で書いたように
調味液の量で、味が均等になるように仕上げると書いておく。
バランスとしてはREDの相性が良く、出汁4のRED1の割合の汁に漬けて
翌日に味を見て出汁かREDを追加するというのが一番良い方法です。