
カジノとワサビ?
何も関係がないと思うが
私は、生のワサビが使えるだろうと思い、
カジノホテルに転職した。
カジノという業界は特殊極まりない。
カジノは当然ながら免許制で誰でも参入できるわけではない。
フィリピンでは国営のカジノ公社にお金を払い、各カジノは免許を受け
営業している。カジノという場所は、すべてが一つの会社が賭博行為を行う
訳ではなく、ジャンケットいう同じく免許制の仲介業者が
カジノフロアーを借り受けたり、または顧客を連れてきたり
資金の貸し付けや回収まで行いながら共同で業務を行う。
何億も負ければ残念でしてとフェラーリ一台を残念賞でプレゼントしたり
プライベートジェットでお迎えに行き、カジノ近くのホテルの部屋を用意し
食事の手配までする。億の単位でカジノで遊べるVIPには、
すべてのもてなしがが最高である必要がある。
自身の仕事では何年も原価、利益、ばかりで仕事をしてきて、
折角、会社員になるなら、金はいくらでもいいからVIPを満足させろ
という仕事がに興味が湧いた。
しかし、カジノホテルに入社したら、すぐに、コロナで誰も来ない。
そのまま任期切れになった……
調理師として海外で仕事をしていると、聞かれる質問は結構同じで
その中にワサビが多く登場する。
このワサビは生ですか?
刺身の盛り合わせのすべての魚より、生ワサビの方が高い。
高くて使えないと言うと、寂しそう顔をされてしまうが
商売では仕方がない。
その点、大金持ちはそういった質問はしないし知っている。
人にもよるが一代で苦労して財をなした人は、特に優しい人が多い。
飲むワインでも高価なものが多いが、抜栓して検品のために
少量味見をすることがサービス上で必要になるのだが、
味見の後に良かったらもう少しあなたのグラスに注いだらとか言う。
白ワインでモンラッシェはあるとか言われると大体の場合は
大騒ぎになる、ワインの原価で一本20万ペソを超える、その前に
モンラッシェの在庫が近所のホテルにあるか聞いて!
と探すことになるだろう。
そんなワインでもよかったら味見してね。なんて言えるのが金持ち。
お金を考えず、ただゲストを満足させるだけの仕事は
大きな会社でないとできない仕事で、ジャンケットの人に
連れてきてもらえるようになると面白い。
お金持ちは刺身とワインは合わないと当然知っている。
しかし生ワサビは好き。そういう人は考える力があるので
和牛でワサビとかで来るか、生魚であれば塩とオイルを来るか
日本酒に飲み物を変える。
中には、葉ワサビの冷凍を知っている人をかもいる、
ワインは鉄分が多く生臭さに関係する、それを消すのに良い油をくれとか
葉わさびの醤油漬けに最高のオリーブオイルかける。
普通に売りたいものを売っている仕事は、これがない。
この駆け引きが料理する人を育てる私は思う。
さて、今日は葉わさびですね。料理に戻ります。
当然、ワサビの葉っぱです。花ワサビもありますが、
写真は葉ワサビです、さすがにこの野菜はハンドキャリーのみ
折角だから書いておきます。
ワサビ特有の辛さを引き出すのが難しく、色々な流儀が存在して
いるのでどの方法が一番正しいのか知りませんが、
私はきれいに洗浄した葉ワサビにぎりぎり行き渡る程度の
砂糖をまぶして、10分程度放置し余分な水を切り、
密封可能な容器(あき瓶が一番よい)につめて、沸騰した調味液を
一気に流し込み、すぐに熱いまま瓶のふたを閉めてしまう方法で作ります。
*注意するのは急激な熱変化での瓶の破損があります。
軽くぬるま湯につけて温めておけば割れることはほとんどありません。
あらかじめ瓶の容量を見て置き沸かす調味液の量を決めておく。
出汁 3:RED 1
砂糖が回った葉わさびを瓶に押し込む、上の配合の沸騰した調味液を流し込み
すぐに蓋をきつく締める。瓶が割れないように注意しながらできるだけ早く
低温に冷やし瓶ごと冷凍する。
自宅にシーラーがあれば袋での調理でかまいません。
酸素の透過性の低い材質の袋がいいですね、いざというときのために
長く冷凍庫に眠ってもらう食材ですから。
この秋に書く食材ではありませんが、カジノとワサビで始めたので
まあ、来年の春に試してください。